大学入試センター・入学者選抜研究機構の発足に際して 2010/04/01
2010-05-22


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大学入試センター・入学者選抜研究機構の発足に際して

 本研究機構は、大学入試センターが試験の実施のみならず入学者選抜研究にお
いてもその中核拠点としての役割を果たすことをめざし、平成22年4月1日に発
足しました。既設の研究開発部が主に試験の実施を支えるための基盤的研究に従
事してきたのに対し、本研究機構は(1)社会的な要請の高い課題に迅速に取り
組むこと、その研究体制として(2)大学入試センター研究開発部との共同研究
はもちろん、国内外の大学、研究機関、当該の専門家との連携を強め、より広い
視野から有効な研究アプローチを選択すること、さらに(3)得られた研究成果
について積極的な情報発信に努めることを3本の柱と考えています。これらの目
的を達成するため、本機構が取り組む研究課題は3〜5年の時限とし、研究組織
の構成員もまたそれと連動する期間に任期を限ることにしました。
 本機構の研究組織は次の3部門により構成されています。各部門とも当面2つ
のテーマを掲げて研究を進めていきます。
 第1の部門は入学者選抜における「障害者支援」に関する研究に取り組みます。
視覚障害者に対する試験時間の延長、音声出題といった課題については従来から
研究を進めてきましたが、それに加えて、発達障害などのある受験者の入学者選
抜の状況を調査し、これからの支援のあり方を検討します。
 第2の部門は「新テスト開発」です。高校までの教育と大学教育との接続が困
難になっているとの指摘があります。大学全入化といわれるなかで、大学での学
習に必要な進学準備とは何か、いかにしたら適正な学習の場に到達できるのか、
新しい試験の開発や新たな入学者選抜の工夫が求められています。大学入試セン
ターが実施してきた法科大学院適性試験は平成22年6月をもって終了しますが、
これまで蓄積してきた知見を一般の大学院入試にどのように生かすことができる
のか、この点もこれからの入学者選抜の課題のひとつと考えています。
 第3の部門は「大学入試評価」です。大学入試の多様化が進むなかで入試の機
能不全が指摘されています。入試に必要とされる選抜機能、診断機能はどのよう
に働いているのか、またどのようであるべきなのか、大学入試スタンダード(標
準)についての統計学・理論的な検討を進めます。また同時に、大学システム全
体の変化をも視野にいれながら、外国の事例等を参照し、入試の質的な評価基準
の設定及び入学者選抜の制度についても調査と検討を進めます。
 以上をまとめれば、本研究機構のテーマは、同時代の求める大学入学者選抜と
は何か、を追い続けることであるともいえます。皆さまのご指導とご鞭撻をお願
い申し上げます。

                大学入試センター・入学者選抜研究機構
                機構長(試験・研究副統括官) 荒井 克弘

分野及びメンバー紹介

○障害者支援部門

視覚障害に関する研究

メンバー 藤芳 衛(特任教授) 南谷 和範(特任准教授)
 テストのユニバーサルデザインとは試験の開発当初から障害を有する受験者を
はじめ、すべての受験者に公平に配慮して試験を設計する手法です。大学入試セ
ンター試験はこのテストのユニバーサルデザインで設計されております。しかし、
開発当初から30カ年度以上を経過した現在、近年の科学技術の進歩を活用してそ
の改善が求められております。また、国連の「障害者の権利に関する条約」の批
准を前に、条約が規定する合理的な配慮の公平性を実現するためには障害を有す
る受験者に対する受験特別措置のさらなる改善のための研究開発を進めていきま
す。

研究課題


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