中教審 今後の学級編制及び教職員定数の改善について(提言) (案) 中央教育審議会初等中等教育分科会
2010-07-17


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今後の学級編制及び教職員定数の改善について(提言)(案)
平成22年  月  日
中央教育審議会初等中等教育分科会

3.具体的改善方策

(1)学級編制の標準の引下げ

○1小・中学校の学級編制の標準

(ア)単式学級

2.で示した基本的な考え方に基づき、以下の理由により、国は全国の教育水準
の向上のため、小・中学校の学級編制の標準(単式学級)について、現行の40
人から引き下げる必要がある。

(i)新しい学習指導要領では、前述のように、特定の教科に限らず学校の教育
活動全体を通じて、観察・実験やレポートの作成、論述等の知識・技能を活用す
る学習活動や言語活動・体験活動を充実させている。これらの活動を通じて、課
題発見・解決能力や論理的思考力、コミュニケーション能力等の育成を効果的に
行うとともに個に応じた指導の充実を図るためには、個々の子どもに指導の準備
や評価を含め時間をかけて向き合う必要があり、学習集団の規摸をできるだけ小
さくする必要がある。
 一方、20人程度の少人数指導を可能とするこれまでの加配措置は3教科程度
に限られたものであり、すべての教科等でより一層きめ細かい指導を充実させる
ためには、これまでの少人数指導のための教職員配置に加えて、学習指導の基盤
である学級規模そのものの縮小が必要である。

(ii)既に述べたように、第6次定数改善計画からは、学級の機能を学習集団と
生活集団に分け、生活集団としての学級の規模については引き続き40人を標準
としつつ、学習集団の柔軟な編制と規模の縮小のための教職員配置の改善を図っ
てきた。しかしながら、近年、いじめ、不登校、暴力行為などの生徒指導上の問
題はより深刻な状況になっており、生徒指導において、児童生徒に対する個別対
応の重要性が増してきている。また、発達障害等のある児童生徒や日本語指導を
行う必要のある児童生徒が増加しており、通常の学級においても特別な支援を必
要とする児童生徒に適切に対応することが求められている。このため、生活集団
の観点からも学級規模の縮小を図り、個々の子どもたちへの指導・支援の充実を
図る必要がある。

(iii)生徒指導面での課題が複雑化・多様化することに伴い、学びのための集
団である学級の経営が維持できなくなる状況が生じてきている。教育活動を支え
る基盤である学級経営の確立のためにも、現在の学級規模の縮小を図る必要があ
る。
 また、学級規模が小さくなることで、一人一人の児童生徒の発言や発表の機会
が増え授業中の質問がしやすくなるなど、より積極的な授業への参加が行えるよ
うになるほか、学級内の教員と児童生徒の間の関係がより緊密なものとなり、教
員と話しやすい雰囲気が醸成され、良好な教員と児童生徒関係が期待される。さ
らに、学級編制の標準の引下げにより学級数が増加することにより、クラス替え
がしやすくなり、生徒指導上の問題や生徒同士の人間関係に関わる問題の解決に
つながるほか、児童生徒がより多くの教職員と触れ合いながら学ぶことができる
ようになる。

(iv)また、平成13年度に都道府県独自の学級編制の弾力化が制度化されて以
降、各都道府県において様々な形態による少人数学級の取組が進められ、「学力
調査の成績が向上した」「不登校の児童生徒の割合、欠席する児童生徒の割合が
低下した」などの具体的な実証データが蓄積されるようになってきた。現在では、
すべての都道府県において何らかの取組が行われており、少人数学級は高く評価
されている。
 一方、地方財政が厳しい状況であることから、地方独自の少人数学級の取組の

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