障害者基本法における情報アクセス権利の保障について 2010/11/30
2010-11-30


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                            平成22年11月30日
障がい者制度改革推進会議 議長 様
                   障害者放送協議会 代表 笹川 吉彦

障害者基本法における、情報にアクセスする権利の保障について

平素より障害者の権利の推進にご尽力を賜り、心より敬意を表します。

私たちは障害者関係団体により1998年に設立された協議会で、現在は20団
体により活動しています。設立以来、放送、通信などの情報アクセスの向上に関
する活動に取り組み、行政や国会議員との意見交換、提言、広報のための冊子の
作成やセミナー等の開催を行っています。

情報へのアクセスは、現代の社会生活を送るうえで不可欠であり、誰もが保障さ
れるべき権利ですが、実際には障害者は多くの情報が利用できず、時に生命や財
産にも関わる大きな困難に直面しています。

現在、障がい者制度改革推進会議では、障害者基本法改正の議論が行われていま
すが、あらゆる施策の基本となるこの法律に、情報にアクセスする権利の保障が
十分に盛り込まれるよう、下記の意見を申し述べます。

                    記

I. 「情報バリアフリー」に関する規定について

1.障害者を情報サービスの対象者としてのみ捉えるのではなく、情報にアクセ
スする権利を明確に規定していただきたい。

障害者権利条約では、第2条にコミュニケーションの定義が述べられたうえで、
第21条においては「あらゆる形態の意思疎通(コミュニケーション)であって自
ら選択するものにより、表現及び意見の自由についての権利を行使することがで
きること」が規定されている。また推進会議第一次意見においては、「障害者も
・・・表現の自由や知る権利の保障の下で、情報サービスを受ける権利を有して
おり、自ら必要とする言語及びコミュニケーション手段を選択できるようにする
とともに、障害者が円滑に情報を利用し、その意思を表示できるようにすること
が不可欠である」と述べられている。

特に、情報を得るのみならず、自ら選択する手段等で意思表示・情報発信できる
ことが、コミュニケーションの保障として重要である。

障害者基本法では、これらの権利を明記すべきであり、これに基づく形で、国、
地方公共団体、事業者等の責務を規定するべきである。

2.放送へのアクセスを確保するよう明確に規定していただきたい。また、障害
当事者によるモニタリングを規定していただきたい。

放送については、極めて公共性が高いものであり、これにアクセスできることは
社会生活上不可欠である。字幕放送、解説放送、手話放送の推進が行われている
が、なおアクセスできない番組は数多く、手話放送については現在の技術や規格
では普及が困難とされ数値目標による指針も出されていない。

字幕、解説、手話を含む、障害者自らが選択する方法で放送を利用できるために
は、放送法にアクセシビリティの規定を明確に設けること、またIP放送において
も通常の放送と同様のガイドラインを設けること、また、手話によるアクセスを
直ちに保障するため、手話の補完放送を法的に位置づけることなどが必要である。

障害者基本法においては、このような観点から、放送へのアクセスを確保するよ
う明確に規定すべきである。また放送について、当事者参加によるモニタリング
についても規定すべきである。

3.放送と通信の融合を踏まえ、通信へのアクセスを確保するよう明確に規定し
ていただきたい。

放送法改正案では、放送と通信の融合時代に合わせるとして、コンテンツ提供事

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