第177国会 参議院行政監視委員会 議事録抜粋 京都大学 小出裕章 平成23年05月23日
2011-05-23


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○参考人(小出裕章君) では、始めさせていただきます。(資料映写)
 私の今日の資料はこちらに見ていただきながら話を進めたいと思いますし、皆
さんお手元に資料が既に配られていると思いますので、それを御覧いただきなが
ら聞いてください。
 今日は、原子力をこれまで進めてきた行政に対して一言私は申したいことがあ
るということでここに伺っています。
 まず、私自身は原子力に夢を抱いて原子核工学科というところに入った人間で
す。なぜそんなことになったかというと、原子力こそ未来のエネルギー源だと思
ったからです。無尽蔵にあると、石油や石炭は枯渇してしまうから将来は原子力
だということを信じてこの場に足を踏み入れた人間です。ただし、入ってみて調
べてみたところ、原子力というのは大変貧弱な資源だということに気が付きまし
た。
 今、これからこのスライドに再生不能エネルギー資源というものの量を順番に
かいていこうと思います。
 まず、一番多い資源は石炭です。大変膨大に地球上にあるということが分かっ
ています。ただし、今かいた四角は究極埋蔵量です。実際に経済的に掘れると分
かっているのは確認埋蔵量と言われているものなわけですが、この青い部分だけ
だということになっています。
 では、この四角が一体どのくらいのことを意味しているかというと、右の上に
今ちいちゃな四角をかきましたが、これは世界が一年ごとに使っているエネルギ
ーの総量です。ということは、石油の現在の確認埋蔵量だけでいっても数十、数
字で書きますとこんなことになりますが、六十年、七十年はあるし、究極埋蔵量
が全て使えるとすれば八百年近くはあるというほど石炭はたくさんあるというこ
とが分かっています。その次に、天然ガスもあることが分かっている。石油もあ
る。そして、オイルシェール、タールサンドと言っている現在は余り使っていな
い資源もあるということが既に分かっているわけです。
 そして、私自身は、こういう化石燃料と呼ばれているものがいずれ枯渇してし
まうから原子力だと思ったわけですが、原子力の資源であるウランは実はこれし
かないのです。石油に比べても数分の一、石炭に比べれば数十分の一しかないと
いう大変貧弱な資源であったわけです。ただ、私がこれを言うと、原子力を進め
てきた行政サイドの方々は、いや、それはちょっと違うんだと。そこに書いたの
は核分裂性のウランの資源量だけを書いたろうと。実は、自分たちが原子力で使
おうと思っているのは核分裂性のウランではなくてプルトニウムなんだと言うわ
けです。つまり、非核分裂性のウランをプルトニウムに変換して使うからエネル
ギーとして意味があることになるということを言っているわけです。
 どういうことかというと、こういうことです。まず、ウランを掘ってくるとい
うことはどんな意味でも必要です。それを濃縮とか加工という作業を行って原子
力発電所で燃やすと、これが現在やっていることなわけです。しかし、これを幾
らやったところで、今聞いていただいたように原子力はエネルギー資源にならな
いのです。そこで、原子力を推進している人たちは、実はこんなことではないと
言っているわけですね。ウランはもちろん掘ってくるわけですけれども、あると
ころからプルトニウムというものにして、高速増殖炉という特殊な原子炉を造っ
てプルトニウムをどんどん増殖していくと。それを再処理とかしながら、ぐるぐ
る核燃料サイクルで回しながらエネルギー源にするんだと言ったわけですね。最
後は高レベル放射性廃物という大変厄介なごみが出てきますので、それをいつか
処分しなければいけないという仕事を描いたわけです。

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