著作権法改正に伴う図書館の障害者サービスに係る要望書 2009/10/26
2009-10-26


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2009年10月26日 文部科学大臣 川端 達夫 様

       著作権法改正に伴う図書館の障害者サービスの充実に係る要望書

               NPO法人 全国LD親の会 理事長 内藤孝子

 日頃は、特別支援教育の推進、発達障害者に対する支援に、ご理解とご支援を
いただき感謝申し上げます。
 さて、過日成立しました「著作権法の一部を改正する法律(平成21年法律第53
号)」に、視覚障害者等、聴覚障害者等への情報提供を促進する内容が含まれて
おり、当事者団体として大きな期待を寄せております。今回の改正を機会に、視
覚認知や聴覚認知に困難を有する発達障害のある幼児・児童・生徒が、より充実
した情報提供を受けられるよう、政令の制定等について下記のとおり要望いた
します。

                  記

1.視覚障害者等のための複製等(法第37条第 3項関係)、聴覚障害者等のため
 の複製等(法第37条の2関係)
  法において複製等を行える事業者は、「政令で定めるもの」としており、そ
 の範囲について、現行の著作権法施行令では、学校図書館については、特別支
 援学校(視覚障害者である児童又は生徒に対する教育を行うものに限る。)に
 設置された図書館に限定しております。
  これを、全ての学校図書館に範囲を広げることを要望します。

[現行の著作権法施行令第二条第一項第三号]
 三 学校図書館法 (昭和二十八年法律第百八十五号)第二条 の学校図書館で
  学校教育法第一条の特別支援学校(視覚障害者である児童又は生徒に対する
  教育を行うものに限る。)に設置されたもの

[改正案(要望案)]
  学校図書館法(昭和二十八年法律第百八十五号)第二条に定める学校図書館
 の設置者

[理由]
 平成14年に文部科学省が行った全国的調査によると小中学校の通常学級に6%
程度のLD等の発達障害のある児童・生徒が在籍しているという推計値(小中で
68万人)が示されている。また、知的障害その他の障害のための特別支援学級に
在籍する児童・生徒数は、全国で12万 4千人(平成20年度)である。すなわち、
今回視覚障害者等、聴覚障害者等として範囲が広がった対象者の大半は、特別支
援学校ではなく、通常の学校に通っており、特別支援学級や通常の学級に在籍し
ている。
 平成17年 4月に施行された発達障害者支援法は、発達障害者に対する支援を国
および地方公共団体の責務と定めており、視覚認知や聴覚認知に困難を持つ発達
障害のある幼児・児童・生徒に対して、それらの者が通う各学校や図書館におい
ても必要な支援を行うことが求められている。
 平成19年に改正施行された、「学校教育法」は、第81条において、「幼稚園、
小学校、中学校、高等学校及び中等教育学校においては、次項各号のいずれかに
該当する幼児、児童及び生徒その他教育上特別の支援を必要とする幼児、児童及
び生徒に対し、文部科学大臣の定めるところにより、障害による学習上又は生活
上の困難を克服するための教育を行うものとする。」と定めている。幼稚園、小
学校、中学校、高等学校等において、視覚・聴覚障害等の障害のある幼児・児童
・生徒に対する支援を行うことを定めており、特別支援学校だけでなく、通常の
学校の図書館も範囲に含めることが必要である。
 発達障害のある幼児・児童・生徒の中には、読字に障害のある者(ディスレク
シア)等の視覚認知に困難がある者、聴覚認知に困難のある者が含まれており、
著作物の拡大コピー、振り仮名の付加、デジタル化、音声化、字幕の追加等によ
る複製や加工のニーズが強い。現行法下では、事前の申請許諾という煩雑な手続

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